五島列島の旅 地質編「五島列島の成り立ち 堆積岩と火山岩が織りなす風景」

 
五島列島は長崎県です。
長崎港から西方約100㎞に位置する大小152もの島からなっています。

この五島列島はどうやってできたのだろう?
そんな疑問が生まれます。
今回はそんなお話です。




堆積岩と火山岩


奈留島の千畳敷きです。
水平な堆積岩の層がはっきりわかります。









これは福江島の鐙瀬(あぶんぜ)海岸です。
ごつごつとしています。
層状の構造は見られません。

火山岩です。
1万年前に鬼岳が噴火し流れだした溶岩が固まったものです。









五島列島の海岸では堆積岩と火山岩を見ることができます。
一体、この島はどうやってできたんだろう?

入り組んだ海岸線

狭い海峡を挟んで大小152もの島が浮かんでいます。
なぜ、こんなに密集して島があるんだろう?

五島列島の成り立ちをしればわかるかもしれません。





鐙瀬(あぶんぜ)ビジターセンター

福江島の鬼岳の南に位置する鐙瀬溶岩海岸に鐙瀬ビジターセンターがあります。

2022年、日本ジオパークに認定された 「五島列島(下五島エリア)ジオパーク」の拠点施設です。




五島列島の成り立ちを詳しく絵で、ビデオで説明していました。
パネルは写真撮影が可能でした。
五島列島は次のステップを経て現在の姿になったのだそうです。











パネルの説明です。
1.ユーラシア大陸の山脈上で誕生(約2,200万年前)
    大陸の縁の4000ⅿ級の山脈が五島のふるさと。
    活発な火山活動により降り積もった火山灰が五島の土台となりました。
2.山脈が裂け、くぼ地に湖ができる(約1,900万年前)
    大陸の縁に引っ張りの力が働きだし、山脈が裂け、湖ができます。
    湖には周囲から土砂が流れ込み五島の土台の一つとなりました。
3.湖はやがて川へ
    山脈は低くなっていき、湖はやがて川になりました。
4.できたての日本海にそそぐ大河(約1,700万年前)
    五島の地層にはユーラシア大陸由来の砂がたくさん含まれています。
5.高まりとして残った五島
    日本海拡大の影響が五島付近にまで達し、その断層活動により五島の大地は大きく変形し、高まりとして残りました。
6.古い時代の火山活動(約1,600万年前)
    地下にマグマが上がってきて、地表では大規模な火砕流が発生しました。
7.断層による五島の分断(約700万年前)
    再び引っ張りの力が働き、多数の断層により五島の大地は分断され、断層部分は後に海峡となりました。
8.火山活動による溶岩台地の形成(約100万年前)
    五島の北部と南部で火山活動がさかんになり、サラサラの溶岩は各地に平坦な土地を作り出しました。
9.九州の一部だった五島(約2万年前)
    氷期には海水準が低下し、五島は何度も九州と陸続きに。
    約2万年前の最終氷期には今より120ⅿも海面が下がりました。
10.海面が上がり現在の五島に(現在)
    その後、海面は上昇し、五島は現在の姿となりました。

ざっくりまとめれば
(1)ユーラシア大陸の堆積岩(ビデオでは3,000ⅿもある!と説明)とその後の火山活動による溶岩→火山岩で構成されている。
(2)海面上に高みとして残った部分も引き裂かれ、断層部分が海峡になり、大小152の島からなる五島列島になった。
(3)氷期には海水面が低下し、九州と陸続きになっていた。
   (生物のパネルでは、 島になっての歴史が浅く固有種は昆虫が8種類(それも溶岩トンネル内に生息)と少ない、とあった。)

この説明を読んで、海岸の風景を振り返ると、なるほどと思います。
また、大小沢山の島ができた理由も分かります。
流れのはやい狭い海峡が至る所にあり、五島の種類豊かな魚介類を育んでいます。
五島列島に行く機会があれば、まず、鐙瀬ビジターセンターで五島列島の成り立ちを理解してから、島々を訪問することをお勧めします。


鬼岳(おにだけ)福江島

なだらかな山容をしています。
約1万年前に噴火し、溶岩は海岸まで達し、今の鐙瀬溶岩海岸を形成しました。

樹木は生えないそうです。
山頂付近は2年に一度、山焼きをするそうです。

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