3年ぶりの絵金さん 次は25年後に会いましょう

 

3年ぶりに絵金祭り(香南市赤岡町)が開催されました。
幕末の絵師・金蔵。略して絵金。
絵金が残したおどろおどろしい芝居絵屏風を軒先に飾り、ローソクの明かりで観賞する絵金祭り。
コロナ禍で、人数制限(一日1,000人)や路上での飲食、アルコール類の提供を制限しての開催でした。



日暮れ前の赤岡の町をそぞろ歩き

この日の日没は19:16。
早めに着いたので赤岡の町をぶらつきました。
赤岡には面白いお店があります。
今日はアルコールの販売がないと思っていましたが、店内ではいいようです。
レトロな雰囲気のお店に入り、コロナビールをグビッ。
帽子に挟んでいるのは今日の入場証です。






19時になると軒先に絵が出てきます

暗くなり始めた19時に「保存会の皆さん、絵を出してください」と町内放送がありました。
祭り会場は旧道沿いの商店街です。
ぼんぼりが灯り祭りの雰囲気を盛り上げます。
今までなら大勢の客でごった返すのですが、今日は人数制限のおかげで人と人の間にスペースがあります。

絵金が赤岡に滞在中、お礼として絵を残したため、現存の多くの芝居絵屏風は個人が所有しています。
個人が所有している絵屏風を、年に一度、軒先に出して公開してくれます。
また、その絵屏風をローソクで照らし出すのでおどろおどろしい絵の雰囲気が際立ってきます。
来場者は興味津津で覗き込みます。

普段、本物をこれほど近くで、また、ローソクの明かりで観賞することはできませんからね。






地元の方の説明も絵金祭りの見どころの一つです



ローソクの明かりで浮かび上がった絵屏風を所有者、保存会のメンバーが説明してくれます。
絵金の絵は、時や場所が異なる場面を一枚の絵の中に描きこんでいる絵が多くあります。
見ただけでは、ただ、おどろおどろしいだけです。
説明を聞くと、どうした場面か、どんなストーリーを描いているのか理解できます。


今年はマイクを使っての説明もありました。
コロナの感染防止で、大きな声での説明を避けるためだそうです。


手元の資料をときどき見ながら、説明してくれた女性もいました。
説明デビューなのでしょうか。
初々しい説明が終わると、観客から拍手が起こりました。






修復を終えた絵屏風は”きれい”になりすぎているように思います


幕末の作品ですから、傷みも出てきます。
数年前からの修復作業が終了しました。
軒先で聞くと「1件300万円」とのお話。
これから長く保存するためには機会を作って修復することも大切な作業です。
でも、きれいになりすぎのように思います。
特に赤と緑の色が新鮮すぎます。
また、同じ色で塗っていても傷みのあるところと傷みの少ないところがあって、時間の経過を感じたことでした。
今回の修復で、均一な塗りになっています。
修復ですから、当然と言えば当然なのですが、以前の趣きを知っているものとしてはいささか不満に感じます。

3年ぶりに会った絵金さん。
次回は、また時を積み重ねた頃にお会いしたいものです。
100年後と言いたいところですが、それまではこちらが持ちません。
後四半世紀、25年後をめどにしてみようと思います。
その時私は90才。
90才の私が再び絵金を見て、どんな思いを持つのでしょう。
楽しみです。









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