前浜掩体群と世界平和
高知空港のある南国市の前浜にコンクリート造りの不思議な物体があります。
敵の攻撃から飛行機を守るための構造物・掩体(えんたい)です。
太平洋戦争当時の7基の掩体が残っていて、前浜掩体群と呼ばれてます。
カメラをもってぶらっと訪れました。
駐車場は前浜公民館
前浜公民館に車を停めることができます。津波が想定されるので、公民館は津波避難タワーの3階にあります。
1階に掩体の説明板があり、その横に資料「掩体は語る」が準備されています。
(説明板には「パンフレットは公民館の玄関に置いています」とありますが、説明板の横にあります。3階の公民館まで行っても鍵がかかっています。)
「掩体は語る」
説明板の横にあった「掩体は語る」です。
内容は南国市観光協会がHPにアップしているpdfと同じです。
https://www.nankoku-kankou.jp/download/?t=LD&id=504&fid=2369
新たに建設する軍用飛行場(今の高知龍馬空港)のために「三島村」全村が強制的に買い取られたこと。
掩体だけでなく指揮所や通信所跡など戦争遺跡がたくさん残っていること。
トーチカも残っていて、グラマン戦闘機などを撃墜したこと。
練習機「白菊」が空中衝突し、12名の若者が亡くなったこと。
などなど地元に住んでいる私でも知らないようなことがたくさん紹介されていました。
戦争遺跡は広範囲に残っています。
今日は掩体を見ることにしました。
7基の掩体は前浜公民館の周辺数100mに点在しています。
公民館に車を停め、歩いてみて回ることができます。
さ、出発です。
ツタに覆われた3号掩体
前浜公民館のすぐ北に3号掩体があります。
剣道のすぐ横にあるので目につきやすい掩体です。
長い年月でツタに覆われています。
周りは田園地帯です。
田んぼや畑、住宅の間に静かにたたずんでいます。
双発の大型機を格納したそうです。
きれいに整備された5号掩体
5号掩体の周囲はきれいに整備されています。白い砂を敷き詰めた敷地には草一本ありません。
左右対称の構造物は何だか何かを葬っているような雰囲気を感じます。
『昭和20年5月から練習機白菊に爆弾2個を載せて、「神風特別隊菊水隊白菊隊」として悲劇の出撃をするのである。』
このことに限らず多くの悲しみを語り掛けているのだと感じました。
保存状態も良く掩体の大きさや構造をまじかに見ることができます。
コンクリートの打ちっぱなしです。
型枠の木がまだ残っていることろがあります。
高知空港の周辺には掩体以外にも戦争遺跡があります
トーチカや指揮所など戦争遺跡があります。
身近にこうした戦争遺跡が残っています。
70数年前、日本は世界を相手に戦争をしていました。
こうした戦争遺跡はフィギュアではありません。
その当時の人々が実際に戦争をしていたのです。
日本は多くの犠牲を払いました。
世界大戦、そして冷戦を経て、世界は秩序のある世界になったものとばかり思っていました
世界を2分した先の大戦。
それに続く冷戦を経て、世界は秩序のある世界になったと思っていました。
武力で他国を侵略することはなく、国際分業で世界全体が豊かになることを目指す世界。
当たり前のように思っていました。
この現在においても武力で自国の意見を貫こうとする国があります
その現実から目を背けていたのかもしれません
ロシアは全く自分勝手な論理をこじつけウクライナに侵攻しました。
無辜の市民が虐殺されています。
核の超大国のロシアが核を持たない小国を恫喝しています。
多くの犠牲のもと、勝ち取った秩序があっという間に崩れ去ってしまいました。
これからの新しい世界秩序をまた一から築かなくてはなりません
でも、人類にはその知恵があると信じています
そんなことを思いながら掩体をみると、その上を全日空機が飛び立って行きました
飛び立つその足元に戦争遺跡があることは意識から零れ落ちています。
どこか予定はありますか?
5号掩体の説明板の『掩体のある風景は、歴史的事実を今に伝える一つの記念碑としてどっしりと構え、周囲の風景と微妙なコントラストを見せ、平和の意味をしっかりと教えている。』を改めて実感しました。
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