はちきんおばさんの理容室










寒い間、散髪を先延ばしてきました。

春めいてきました。

もう、髪を切っても風邪をひくこともないでしょう。

気分も春らしくしようと地元の理容店で髪を切ってきました。


我が町の小さな散髪屋さん

散髪には歩いて行きましょう。

家の前の道は物部川の上と下とつなぐとんと昔の街道です。

いまは新しい道ができているので、交通量は多くありません。

道のすぐそばに小さな山があります。

長宗我部の時代、この地に勢力を持っていた豪族の城址です。




この付近は昔から住んでいる人が多くいます。

私はここに移り住んで30数年になりますが、今でも”新入り”です。

その昔の道を歩いて行くと、民家が並ぶ一角に理容店が登場します。

交通量の多い表の通りには面していません。

看板も出ていません。

理容店を表すクルクル回るものもありません。

知らない人が見れば理容店とは分からないかもしれません。


髪を切ってくれるのは土佐のはちきん


もう30年以上、私の髪を切ってくれていています。

私の息子も切ってもらっていました。

気風のいい土佐のはちきんです。

本人は「もう年や」といいますが、いえいえ、元気ではきはきしています。

とは言え髭を当たりながら「おうの、目が見えん」とつぶやくのを聞くのはスリルがあります。

志賀直哉でしたっけそんな場面の短編があったように思い出します。

表の通りから外れたこの理容店には新規の客、飛び込みの客はあまり来ません。

それでも以前はおばちゃんの昔からの友人、知人がたくさん来ていました。

最近はそのお客さんが少なくなっているのだそうです。

「そりゃ、そうよ。みんな、死んだり、寝付いたり、施設に入ったきねぇ。」

・・・・

なるほど。


店内は懐かしい気分を味わえます

今どきの街中の理容室、美容室とは趣が違います。
もう何十年もここで髪を切ってきました。
昔から使っているものばかりです。
ガンダムの発射台のような最新式の散髪台はありません。

髪を洗うには流しに自分で歩いていきます。

髪を切ってもらう間、眺める鏡です。

鏡の前にある髭剃りの白い陶器も懐かしい。






写真のシーサーは理容店に飾ってあるものです。

白い壁が沖縄っぽいからでしょうか、店内にはシーサーがいくつか飾っています。




散髪の間の話題も身近なことばかりです

最新のモードとか芸能界の話題はありません。
ま、私が苦手ですからね。
地元の昔の話とか、最近の出来事とか、身近なことばかりです。
今日も私の息子が小さかった頃の話になりました。
昔、散髪屋に行けば地元のディープな情報が集まっていました。
この理容店ではそんな昔の風情が残っています

おばちゃんがいつまでも元気で、私の髪を切ってもらいたいと思っています

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