トラとハナ(2) 肥えるネコの舌

10年程前に我が家に居ついたトラとハナのお話の2回目です。
これはやんちゃなトラです。

ひじりの食パン


隣町のJR土佐山田駅前にひじりと言うパン屋さんがあります。
国産小麦を使った食パン部門で日本で第2位になったお店です。
ここの食パンはふわふわもちもちです。
パンの二つの角を一つの手の親指と人差し指・中指で挟もうとしてもつぶれてしまいます。食パンを持ち上げる時は食パンの二つの角をそれぞれつまんで持ち上げなければなりません。
朝の7時が開店です。
休日は7時を待ちかねて買いに行きます。
小さな店ですが、大勢の人が買いに来ています。
奥の方では若い職人さんがたくさん働いています。
でも、食パンを切るのは親父の仕事です。
あまりにもやわらかい食パンなものですから、よほどコツがいるのでしょう。

「食パンを4枚に切って。」と言うと、親父が客には媚びんぞ、とばかりに「一斤を4枚やねぇ。」と返してきます。
こっちも、全国2位だから買いに来てるんじゃない、旨いから来ているんだ、おれがまずいと感じたら来ないぞ、とばかりに、「そう、厚切りね」とやり取りをして買ってきます。

パン屋のすぐ近くには日曜市があり、そこで果物を買います。
最近は長野や岩手からのリンゴを買います。
なんでも、今年は大ぶりのリンゴは日持ちがしない、とのことで小ぶりを薦めてくれます。


休日の朝のテーブル

さぁ、食材はそろいました。
ふわふわの食パンを軽くトーストしてバターを塗ります。
豆から挽いて淹れたてのコーヒーと一緒に食べると、休日の朝の気分でゆったりします。

肥えるネコの舌


テーブルで休日の朝を楽しんでいると、女房が庭の方に行きます。
網戸を開け、猫どもに朝から何かやっているようです。
「やっぱりこの子たちもおいしいものを知っちゅう。
昨日は、ぱさぱさのパンやったら食べんかったに、この食パンはよう食べる。」
思わず口に含んだコーヒーを吹き出すところでした。
おい、ネコの舌を肥やしてどうする。


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