「土偶を読む」の検証本「土偶を読むを読む」を読みました

 


「土偶を読む」の検証本「土偶を読むを読む」を読みました。

「土偶を読む」

私は「土偶を読む」を大変興味深く読みました。
そして2021年の私の1冊に「土偶を読む」を挙げました。

「土偶を読む」を読んだ感想をブログにもアップしています。

土偶は木の実など自然の恵みをモチーフにしているとの説と実際の写真を見くらべて、これは間違いない、この説以外の説を挙げるのは難しいだろう、と思ったものでした。



「土偶を読む」を検証した「土偶を読むを読む」


「土偶を読む」を検証、いやもっと言えば反証の本「土偶を読むを読む」が出版されました。
早速、読んでみました。

端的に言えば「土偶を読む」では有名な一つの土偶とそれによく似た木の実や作物を無理やり引っ張ってきて、似ていると言っているのであって、学術的な検証にはなりえない、というものでした。





土偶には時間的な広がりと空間的な広がりがある

土偶には遮光器土偶、ハート形土偶、山形土偶、ミミズク土偶など有名な土偶があります。
土偶は私たちがよく見る土偶1体だけが残っているわけではありません。
それぞれの造形の土偶は時間的に変化しています。
また、空間的にも広く分布しています。
この広がりのなかから一点だけをピックアップして、木の実に似ている、作物に似ている、と論じるのは意味がない、とのことです。
もし、ある造形の土偶がある木の実をモチーフにして作られ始めたのであれば、当初からその木の実をモチーフにしたことが分かるはずです。
しかし、最初の土偶からはそのモチーフが見て取ることができず、随分後になってからの土偶がある木の実に似ているからと言って、木の実をモチーフにした土偶だ、と結論付けるのはいかがなものか、との指摘です。

至極まっとうな指摘だと思います。

もし木の実をモチーフにしたのであれば立体的な造形となっているはずだ

「土偶を読む」ではハート形土偶はオニグルミをモチーフにしている、としています。
確かにオニグルミの断面とハート形土偶の顔はよく似ていると感じます。
もしオニグルミをモチーフにするのであれば、断面だけでなく立体的な木の実に似てなければならないのでは?と反証しています。
確かにハート形土偶とオニグルミの実は2次元では似ている切り取りができますが、3次元ではとても似ているとは言えません。

これも至極まっとうな指摘だと思います。


「土偶を読む」を2021年の本に取り上げた私としては
「土偶を読むを読む」を読み進めるのはなんとも気の重いものでした。
それほど「土偶を読むを読む」の検証、反証はすとんと納得できるものでした。
「土偶を読む」の著者・竹倉史人さんにしてみれば面白くないことだと思います。
ここは、竹倉さんとしての反証を期待したいものです。



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