フェルメールの「窓際で手紙を読む女」を観てきました

「17世紀オランダ絵画展」は、東京、札幌を経て大阪で開催されました。
「行こう」「見たい」と思いながら、コロナがあり、延び延びになっていました。
最後の大阪も会期の9月25日が近づいてきました。
23日と25日に見に行ってきました。

9月23日は雨にもかかわらずたくさんの人が来場していました

会場は大阪市立美術館です。
天王寺動物園の方から正面玄関に向かって真っすぐに進みます。

階段を上ると、正面玄関には入場を待つ人の列ができていました。
入場予約をしているとスムーズですが、予約がないと、長い列の最後に並んで待つことになります。
この日は雨が降っていました。
雨の中、並んでも「フェルメールが見たい」気持ちなんでしょう。


エントランスの看板にはフェルメールの絵が大きく描かれています


「17世紀オランダ絵画展」の目玉はなんと言ってもフェルメールの「窓際で手紙を読む女」です。

私も、この絵を目当てに行きました。

毎回、フェルメールの絵には心奪われてきました。

今回の作品はどんなに素敵なのでしょう。


フェルメールの「窓際で手紙を読む女」にやっと対面することができました



今回来日した「窓際で手紙を読む女」は、フェルメールの作品であることに加え、後から塗りつぶした箇所の絵の具をはぎ取るとキューピットが出てきたことでも注目されていました。
上に2枚の絵を並べています。
左の絵は、白い壁の中にキューピットが塗りこめられています。
当初は、フェルメールの手によって塗られたと思われていました。
詳しく調べると、フェルメールが亡くなった後、塗られたことが分かりました。
上に塗られた塗料を注意深く除去すると、右の絵が出てきました。
画中画としてキューピットが描かれています。

会場には左のキューピットが塗りこめられた模写と、右の修復後の作品を同時に見ることができました。

私は、9月23日と25日に2度、観に行きました。
一日目に見た時には、「キューピットが出て来て、画面の焦点がぼやけている」と感じました。
今まで、青いターバンの少女、真珠の首飾りの女、牛乳を注ぐ女などフェルメールの作品を見た時には、構図に引き込まれるように絵の緊張感を感じました。
でも、今回の窓際で手紙を読む女は、手前のテーブルクロス、カーテンと左の窓、中心の女、そして壁のキューピットと目移りします。
どうも落ち着きません。
これなら模写の構図の方がよさそうに思いました。
「この絵はもう一生見ることができないだろう。それなら日本にあるうちに」ともう一度観に行きました。
2度目に模写と本物を改めて見くらべました。
模写の構図は奥の壁がのっぺりとしています。
本物は、確かに構成する要素が多くあり、目移りするのですが、嫌な気分ではありません。
それにしてテーブルクロス、カーテン、女の衣服、顔・髪のなんと微に入り細に入り描きこまれていることでしょう。
美は細部に宿る。
やっぱり本物を実際に見ることはいいもんだ、と納得しました。

フェルメールは窓からの光を取り入れた構図が沢山あります。
この当時は窓からの採光で手紙を読んだり、地図を読んだりしていたのでしょう。
手紙をモチーフにした絵をいくつか書いています。
また、この当時の手紙は最新の連絡手段だったそうです。
遠くにいる恋人から届いた手紙を窓からの光で読む女性。
光と手紙。
現代ならどうなのでしょう。
光は蛍光灯、LEDなどでどこでも自由自在です。
恋人からの手紙を心待ちにすることはありません。
恋人からの連絡はスマホです。
現代の美術家は恋人からの連絡を読む女性をどう描くのか、興味があります。

行きたい、行きたいと思いながらコロナで東京会場にも札幌会場にも行くことができませんでした。
大阪会場への訪問も第7波で延び延びになっていました。
会期切れまじかになりやっと行くことができました。

実際に行ってみるとフェルメールだけでなく超微細な描きこみの作品がありました。
写真ではその見事さは分かりません。
単眼鏡で見ていくと、その見事さに圧倒されます。
やっぱり本物と同じ場に立ち正面から見ることの体験は素晴らしいと思います。
 
これからもこうした機会は逃さないようにしたいと思っています。

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