トーチカや つわものどもが夢の跡

 

高知空港周辺にある戦争遺跡の一つ・トーチカを観に行きました。


トーチカは物部川の堤防にあります

物部川堤防から河口方向を観た写真です。

私のジョギングコースです。

高知高専のグランドの南。

物部川の右岸、河口から1kmの道標のすぐ下です。

看板も何もありません。

ここにトーチカがあると自分で調べて来ないと気が付かないと思います。

私自身、よく通る堤防ですが、トーチカがあることを知りませんでした。

前日、ジョギングでこの前を通った際にも、「掩体は語る」の戦争遺跡の地図だとこの当たりだと思いながら、どれがトーチカか分かりませんでした。

犬の散歩中の地元の方にお聞きして「あ、これか」と分かった次第です。

トーチカだと知らないと、古井戸のようにしか見えません。


トーチカの写真を撮っていると自転車で通りかかった地元の女性が話しかけてきました。

「トーチカを撮りゆうかね。」

「はい。この前、前浜の掩体を見て、ここにトーチカがあると知ったので来てみました。」

「高専の若いし(若者)に言うても、トーチカの言葉さえ知らん。

平和な時代になってえい。

戦争はいかん。

けんど、日本がどんな戦争をしたか知っちょらんといかんと思うがねぇ。」

おっしゃる通りだと思います。


トーチカは直径1ⅿ程度の大きさでした

失礼してトーチカの上に上がりました。

直径は1m程度です。

定員は1名でしょうね。

コンクリートの厚さは20㎝もあり、頑丈に作られています。

上面の中央に穴が開いています。

ここから頭を出して、敵機の襲来を確認していたのかもしれません。


滑走路の方向に大きな開口部があります


トーチカの南側に大きな開口部があります。
資料を見ると20mm機関銃を据え付けていたそうです。

開口部の方向は高知空港の滑走路、海側からのアプローチの方向を向いています。
高知空港に駐機している練習機「白菊」を狙って高度を下げてきた敵機を狙ったのでしょう。


開口部の先を見ていると、全日空機が海側に離陸していきました。
距離は結構あります。
この距離で20mm機関銃で撃ち落とすことができたのでしょうか?
直径1mの狭い空間で20mm機関銃を撃つと凄まじい衝撃と音がしたことと思います。
ちょっと生まれてくる時代が早ければ、わたしがこのトーチカに一人で入って敵機の襲来に備えていたかもしれません。

トーチカや つわものどもが夢の跡




トーチカの周りは草が茂っています。

夕方になると上の堤防には犬を散歩させる人、ウォーキングやジョギングをする人がパラパラと行きかいます。

このトーチカの機銃で米軍機・グラマンを5機も撃墜したことなど時代とともに忘れ去られようとしています。

いや、ここにトーチカがあることさえ気が付きません。

ふと、口をついて出たのは「トーチカや つわものどもが夢の跡」


平和は大切です。
戦争などもってのほかです。
このトーチカに籠って敵機来襲を待ち続けた日本の若者。
太平洋を渡って島国の小さな空港の上空で命を散らしたアメリカの若者。
戦争の愚かさを思い、悲しくなります。
人類は先の大戦で戦争の愚かさを学んだはずでした。
人類が希求する平和がこの現代であっても、ロシアによるウクライナへの侵攻により微妙なバランスの上に立っていることを改めて気づかされました。


平和の意味を考えるために、命を賭した先人たちに思いを馳せる。

機会を作って子供たちには戦争遺跡の話をしていきたいと思っています。








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