消えた梅漬け

 
暑くなってくると塩分の多いもの、酸っぱいものが欲しくなります。
いつも買い物をする産直売り場に行きました。
あれ、梅漬けがありません。
「梅漬けがないね?」と聞くと「法律が変わって梅漬けもラッキョウ漬けも売られんなったと。おばちゃんらぁも売りたいに。」とのことでした。




食品衛生法改正


そういえばニュースで食品衛生法が改正され、漬物の製造販売が6月から厳しくなりました。
調べてみると漬物の製造販売が許可制となり、厳しい衛生管理基準を満たす施設の設置が義務づけられたのだそうです。
中には日曜市に出店している古漬けのように保健所の許可をとって続ける人もいます。
しかし、昔から自宅で細々と漬け物を作っていたおばちゃんの多くはハードルが高かったように思います。
そのため、地元の野菜を使った漬物作りを楽しみとして続けてきた人たちの多くが販売を断念しているそうです。

スーパーの梅漬け


スーパーに行くと立派な容器に詰められた梅漬けが幾種類も並んでいます。
買い物かごに入れようと手に取りましたが、ふと、気になって容器の裏の原料名を見ました。
梅、しそは当然として還元水あめ、食塩、醸造酢、糖類(果糖ブドウ糖、砂糖)、タンパク質加水分解物、発酵調味料、酵母エキスにとどまらずさらに調味料(アミノ酸等)、アルコール、酸味料、ビタミンB1、甘味料(ステビア)、着色料(赤色)とこれでもかと並んでいます。
おばちゃんの作る梅漬けの原料名は「梅、しそ、塩」だけでした。それでもおいしくて飽きが来ずまた買いに行きたいと思う梅漬けでした。
スーパーの梅漬けの原材料欄の最後の原料原産地名 中国(梅)を見て、ため息をつきながらそっと元の棚に戻しました。

おばちゃんの梅漬け

産直市で売っている梅漬けを作っているおばちゃんを知っているわけではありません。
昔から当たり前のように自宅で梅漬けを作ってきたおばちゃんがたくさんいます。
自宅で梅を付けることができない人に、その梅をすこしおすそ分けしていたおばちゃん。

私としても地元の梅、しそを使い、調味料は塩だけ。塩以外の調味料やまして着色料などを使わずに作った梅漬けを食べたい。

改正された食品衛生法は漬物の製造販売そのものを禁止しているわけではなく、基準にのっとった施設であれば製造し販売することを許可します。
それでも、おばちゃんの梅漬けは姿を消しました。
自宅でとれた梅やしそで今まで当たり前に漬けて売っていた人たちの中には保険証の許可をとることのハードルが高く、あきらめ、止めた人たちも多くいます。
何とももったいない話です。



食品衛生法改正を担当した人は「結果は10年後に公開します」くらいの知恵がなぜ働かなかったのだろうと残念でなりません。




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