スターリングエンジンと潜水艦
7月の3連休、高知新港で自衛隊の潜水艦の体験乗艦会が行われました。
猛暑で行くのをためらいましたが、行って、見て、聞いて、やっぱり百聞は一見に如かずだと思いました。
特に潜水艦にスターリングエンジンが搭載されていることに驚きました。
高知のスターリングエンジン研究会
もう30年以上も前のことです。
企業をリタイヤしたエンジニアたちが集まり、スターリングエンジンを研究する会が高知にありました。
会社を辞めても自分の技術を世の中に役立てたいという純粋な技術者の集まりでした。
スターリングエンジンとは簡単に言うと温度差を回転力に変換するエンジンです。
「どのような応用を考えていますか?」と聞くと、「河原で焚火をし、川の水と焚火の温度差を使ってスターリングエンジンを回し発電する」例を紹介してくれました。
いくら優れた技術と言えども、時代とマッチしなければ単なる”現象”でしかありません。
技術を世の中に活かす実用化の谷はここでも深いようでした。
そうりゅう型潜水艦にはスターリングエンジンが搭載されています
そうりゅう型潜水艦 - Wikipedia高知新港で体験乗艦できたのは自衛隊のそうりゅう型潜水艦「けんりゅう」でした。
「けんりゅう」はディーゼルエンジンとスターリングエンジンを搭載しています。
両エンジンとも発電することに使われます。
一度、蓄電池に貯め、その電力でモーターを駆動しスクリューを回し推進力を得ています。
浮上しているときには大気を使ってディーゼルエンジンを回し発電します。
潜水するとケロシンと液体酸素を反応させ熱を得て、スターリングエンジンを回し発電します。
蓄電池に貯めた電力だけでなく、スターリングエンジンで発電することで潜水しての航続距離を延ばすことができます。
久しぶりに聞くスターリングエンジンの名前でした
潜水艦へのスターリングエンジンの採用は、音がほとんどしないことが採用の大きな理由の一つです。
今でもスターリングエンジンを研究している団体があり、実用化として木質バイオマスを燃焼させ、スターリングエンジンで発電するアイデアがあるそうです。
脱炭素の一つの手法として注目されています。
世の中の流れが変われば、磨いてきた技術が実用化の壁を越える機会が増えてきます。
高知の研究会が潜水艦のスターリングエンジンを手掛けたわけではないでしょうが、30数年前に机の上のスターリングエンジンをいとおしげにさわっていたあの技術者たちのピュアな思いが今に繋がっていることを嬉しく思った見学会でした。
今でもスターリングエンジンを研究している団体があり、実用化として木質バイオマスを燃焼させ、スターリングエンジンで発電するアイデアがあるそうです。
脱炭素の一つの手法として注目されています。
世の中の流れが変われば、磨いてきた技術が実用化の壁を越える機会が増えてきます。
高知の研究会が潜水艦のスターリングエンジンを手掛けたわけではないでしょうが、30数年前に机の上のスターリングエンジンをいとおしげにさわっていたあの技術者たちのピュアな思いが今に繋がっていることを嬉しく思った見学会でした。
折角ですので、以下にけんりゅうの資料や当日の写真を載せておきます
当日配布されていた資料
当日の写真です
更に猛暑。
日陰のない高知新港の岸壁に潜水艦を見に来る人間など少ないだろう、とおっとり刀で出かけるとたくさんの人が来場していました。
艦尾に海水面から斜めにつきだしたものが見えます。
質問してみると「舵」でした。
従来は垂直に取り付けていて、それを左右に振ることで船の進む方向を決めていました。
この斜めにつきだした舵は”エックスウィング”と呼ばれ、左右上下対象の4枚の舵で構成されています。
コンピュータにより4つのウィングを独立して制御することでより正確で小回りの利く操舵が可能だそうです。
上下左右にゆっくり揺れていました。
出港や入港の際にはこの舵の上に見張りが立つそうです。
手すりがないので安全ベルトを装着し、そのベルトを艦橋に固定して転落防止を図っています。
防音タイルを貼っていることが分かります。
内部の音が漏れるのを防ぎ、アクティブソナーの信号を吸収することでステルス性を高めています。
小さい頃、「青の6号」という日本の潜水艦を舞台にした漫画がありました。
ポンコツ艦ですが、艦長の作戦で活躍する物語に胸躍らせたものでした。
けんりゅうをバックに、小さな女の子たちが制服姿の自衛官と記念撮影をしていました。
自衛官も誇らしげでした。
平和だからこそできる体験乗艦会。
いつまでも抑止力であってもらいたいと思って、港を後にしました。
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