ウクライナ戦争を止めることができるのはロシア国民だけ

 

先日、南国市内で「プーチン政権の闇と今後の日露関係」と題して学習院大学名誉教授の中村逸郎さんの講演がありました。
「ウクライナ戦争は厳しい状況が続いている。でも、終わりが見えてきた。」と話し始めたので「どうした根拠でそう言えるのか。どんな終わりが予想できるのか。」と興味を持って聞きましたが、最後で緊張感がプッツン切れました。




ロシア専門家の中村逸郎さん

ウクライナ戦争が始まってからロシア専門家としてテレビでよく見かけるようになった中村さんです。
独特な風貌に加え、甲高い声で早口のおしゃべりも印象に残ります。
詳細な経歴はググってくただくとして、今回の講演で高知に縁があることを知りました。
中村さんは島根県のご出身です。
お姉さん夫婦が30年近く高知市に住んでいて、学生時代に遊びに来たことがあるそうです。土佐弁が懐かしく、今でも季節になるとブンタンを買い求めているそうです。

ウクライナから日本への避難者は約2,500人

ウクライナから日本へ避難している人は焼く2,500人に上るそうです。
その多くは単身の女性です。
家族はペットを連れてくることができず、ポーランドなど周辺国に避難しています。
この写真の女性たちは高校生や大学生です。
避難先に日本を選んだ理由は
(1)戦争から遠い
(2)アニメで日本に親しみを持ってたから
だそうです。
避難民の多くは自治体が準備した住まいで避難生活を送っています。
アルバイトをして3分の一は生活費、残りはポーランドなどに避難する家族にし送っているそうです。
不自由をしている彼女たちに少しでも楽しんでもらおうとファミリーレストランに連れて行くことがあるそうです。
「好きなものを食べて」と言っても、彼女たちは安いものだけを選ぼうとするそうです。
「お金のことはいいからお肉や魚など好きなものを食べて」と無理やり栄養のつくものを選んでもらうのだそうです。
母国から遠い、家族・親戚もいない、慣れない国で肩身の狭い思いをしている彼らの心情を思うと、やるせない気持ちになります。
彼ら・彼女らに「戦争が終わったらどうするの?」と聞くと「ウクライナに帰って母国の再建の力になりたい。そして、お世話になった日本の自治体との架け橋になりたい」というそうです。
早くその日が来ることを願っています。

ウクライナの甚大な被害

キーウをはじめ都市部への攻撃によってウクライナ国民の故郷は破壊されつくしています。
また、ダムを破壊したことで多くの住民の住まいを奪い、肥沃な穀倉地帯にも甚大な被害をもたらしています。
ウクライナの復興には3,450億ドルが必要との試算が示されました。
いつの時点での資産か分かりません。これよりはるかに多くなるでしょう。
2020年のロシアのGDPが約1兆5,000億ドルです。
ロシア基礎データ|外務省 (mofa.go.jp)
単純に計算するとロシアのGDPの23%相当の金額が必要です。
日本に置き換えて考えれば、日本の名目GDPを約550兆円とすると23%は約130兆円の復興費が必要になります。
国家予算が約100兆円ですからそれ以上のお金が必要になります。
もし、ロシアが目論み通りウクライナの東部を併合し、ロシア領土としてもGDPの(少なくとも)23%をつぎ込まなくてはなりません。

さすがにロシア国内でも厭戦機運が高まる

上に述べたような戦後の復興だけでなく、5000人から3万人ともいわれる兵士の人命を失ったことが大きく、ロシア国内でも厭戦気分が高まっているそうです。

ウクライナ戦争を止めることができるのはロシア国民だけ

今回の中村さんの講演でもっとも心に残ったのはこの「ウクライナ戦争を止めることができるのはロシア国民だけ」の言葉です。
中国、トルコ、アフリカ諸国が仲裁をしようとしましたが両国とも相容れません。
最後には米国の仲裁を期待する向きもありますが、とても難しい。
この戦争を止めることができるのはロシア国民だけ。
クーデターか、暗殺か、あるいは平和的に政権交代か。
2023年9月からロシアは政治の季節、2024年3月は大統領選があります。
必ずロシア国内でこうした動きがある。
ウクライナはそのことを読んで反転攻勢でも人的被害を少なくする作戦をとっている可能性を示唆していました。

プーチン大統領替え玉説

講演の最後は「プーチンは替え玉だ」の話でした。
2007年か2008年にプーチンはがんで死亡している。
その後は替え玉のプーチンになっている。
どうも中村先生はこのことに固執しているようでした。
偽物、替え玉なら表にいるプーチンを裏で操る人間、グループがいるはず。
それがどんな人間、グループなのか。
裏の人間、グループがウクライナへの侵攻に突き動かした背景、思想、狙いは何なのか。
彼らは何をもって戦争終結に向かおうとしているのか。
偽物、替え玉説を唱えるなら中村さんにはそんなことを解説して欲しかったですね。
私としたら偽物でも、替え玉もいいから、戦争を早く終わらせる動き、きっかけを聞きたかったと思います。
講演の最後は私の緊張感がプッツン、切れてしまいました。


ロシアが一方的にウクライナに侵攻を開始したのが2022年2月23日。
もう1年以上が経過しました。
進行開始直後は連日連夜、ニュースや情報番組で戦況を取り上げ放送していました。
でも、最近はそうした報道は少なくなったように感じます。
どのチャンネルでも芸人がたくさん出て来て、笑い声が聞こえます。
あまりにも続く悲惨な状況をもう見たくない、との気分があることも事実です。
私自身、「ダムが決壊して下流域が水没」のニュースからは「もういい加減にしてくれ」と目をそむけたくなりました。
実際は今でも戦争は続いています。
反転攻勢で多くの命が失われています。
更に信じられないことに「ベラルーシに戦術核を配備した」などと言いだします。
この戦争を一体だれが止めることができるのか。
残念ながらこの講演を聞いても何も分かりませんでした。








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