シロテテナガザルで個体識別
のいち動物公園のシロテテナガザルの個体識別ができるようになりました。
例えば写っている左がニテ、その右のぶら下がっているのはチャコ。
といった具合です。
個体識別とは文字通り、動物の個体を見分けることを言います
今西錦司さんが群れのニホンザルに名前を付け、個体識別をすることでサルの社会の研究の扉を開きました。
それまでは動物学と言えば行動学や生態学中心だった研究でした。
識別された個体を追跡していくことで動物の世界の社会構造を研究することができるようになりました。
そんな難しいことを出さなくても、家で飼っているペットには名前をつけて「ゴマちゃんは人見知りで」とか「モカちゃんは人懐っこくて太っちょ」など動物の個性を理解することで楽しみが増えることは身近によくあることです。
町内会、学校や会社など人間の集団でも同じですね。
名前を呼んで、家族や趣味などのことを知るにつれ親しみも、理解も深まるというものです。
好きなシロテテナガザルで個体識別
「コロナ禍で、子供たちと触れ合う機会も少なく・・」と言い訳をしても仕方ありません。
いずれコロナも収まります。
子供たちを相手にできる前に、個体識別ができるようにしたいと思います。
まず、手始めに私の好きなシロテテナガザルから始めることとしました。
動物公園の真ん中あたりにシロテテナガザルが暮らすエリアがあります。
モート(堀)で隔てられた一画に、4頭が暮らしています。
長い腕を使い樹から樹へ腕わたり(ブラキエーション)できるよう高い場所(最高10m)にループタワーが設けられています。
遠くまで届くほえ声が園内に響くし、高い場所をリズムよく腕渡りする姿に来園者から感嘆の声が上がります。
各個体を説明する掲示板を見るとお母さんがチャコ、お父さんがニテ、お姉さんがココ、末っ子がクリです。
クリは白い毛なのですぐに見分けることができます。
チャコは顔の色がニテ、ココとは違うので見分けることができます。
体毛も顔も似ているニテとココ。顔の周りの白い毛の形が違います。
それまで4頭のシロテテナガザルとしか映っていなかった目の前の風景です。
見わけ方を頭に見ていると徐々に4頭の区別がつくようになってきました。
すると、目の前の景色がそれまでとは全く違った意味を持って映って見えるようになりました。
そうです!
ただの4頭ではなく家族なのです。
お父さん、お母さんに子供たち。
子供たちも、お転婆なお姉さんと甘えんぼの末っ子。
ココの腕わたり(ブラキエーション)は、アクロバティックで来園者の視線を釘付けにします。
カッコいい!!
あら、お母さんが高いところでおしっこをすると、末っ子のクリが寄って行って、あれま、おしっこを手ですくって飲んでいます!
なんてこったい!
でも、母と子供として見るのと、関係の分からない2匹のシロテテナガザルとして見るのでは、目の前の行動も違って見えてきます。
思い思いに腕わたり(ブラキエーション)をしていても、ときどき、2頭、3頭が集まることがあります。
今までは、2頭、3頭のシロテテナガザルとしか見えていませんでしたが、今では、お父さん、お母さんとどの子供たちが集まっているのかわかると、一層、興味が深まります。
個体識別は難しいことではありませんでした
個体の特徴を頭に入れ、10分、20分も見ていると自然と識別できるようになります。
(これが、野性下だと、まず、姿を見ることが難しいので、そう簡単ではないと思います。)
動物園は、動物を見て回るのも楽しいものです。
さらに個体識別ができると、興味も、楽しみが深まります。
クルマで10分の距離にあるのいち動物公園。
年間パスポート(1,570円/年!!)があれば、何度でも行くことができます。
個体識別ができる動物を増やしていけば、それまで見てていたのいち動物公園も違った姿で見えるようになると思います。
一つの動物園をフィールドにしてみるのも、いいものです。
コメント