「地雷グリコ」で頭をガツン
地雷グリコ
KADOKAWAのHPには次の紹介があります。
「ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。」
また、受賞歴(候補含む)もなかなかのものがあります。
第171回直木三十五賞候補作
第37回山本周五郎賞
第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉
第24回本格ミステリ大賞【小説部門】
第7回飯田賞
2023年SRの会ミステリーベスト10【国内部門】第1位
「地雷グリコ」ってなんだ?
「地雷グリコ」のタイトルを見ると私の年代では「グリコ森永事件」を思い出します。
しかし、この本はそんな犯罪とは無縁の内容でした。
舞台はとある高校。
登場人物も高校生。
(あ、「坊主衰弱」編では喫茶店のマスターが登場しました)
ゲームの勝敗が物語の進行の鍵になっています。
5編はそれぞれ異なるゲームです。
「地雷グリコ」はじゃんけんで勝ったグー、チョキ、パーの「グリコ」「チョコレート」「パイナップル」の文字数3文字、6文字、6文字進むことができる「じゃんけんグリコ」にルールを加えたものです。
階段で行う「じゃんけんグリコ」ですが、参加者が階段の特定の段数に「爆弾」を仕掛けることができます。
その爆弾のある段数に進むと「ボカン」と爆弾が爆発し10段下がるルールです。
こう書くと単純なゲームに聞こえるでしょうが、繰り広げられる心理戦、論理戦が想像を絶する面白さでした。
しょっぱなから「ガツン」とやられました。
その後も「坊主衰弱」(花札を使った神経衰弱)、「自由律じゃんけん」(参加者がグーチョキパー以外に新しい手を考案できる)、だるまさんがかぞえた(だるまさんが転んだの変形)、「フォールームポーカー」(ポーカーとはまるで違うポーカーゲーム)と続きます。
よくもこれだけ変なゲームを考えることができるもんだ。
そして登場する一癖も二癖もあるゲーム参加者の罠や論理のひっくり返しに驚きます。
いやぁ、2025年しょっぱなからこんな本を読んでしまうとこの後読む本のハードルが上がってしまいいそうです。
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