「地雷グリコ」で頭をガツン

 
2025年しょっぱなの一冊でガツンときました!















地雷グリコ

KADOKAWAのHPには次の紹介があります。

「ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説!
射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。
平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――ミステリ界の旗手が仕掛ける本格頭脳バトル小説、全5篇。」

また、受賞歴(候補含む)もなかなかのものがあります。
第171回直木三十五賞候補作
第37回山本周五郎賞
第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉
第24回本格ミステリ大賞【小説部門】
第7回飯田賞
2023年SRの会ミステリーベスト10【国内部門】第1位


「地雷グリコ」ってなんだ?

「地雷グリコ」のタイトルを見ると私の年代では「グリコ森永事件」を思い出します。
しかし、この本はそんな犯罪とは無縁の内容でした。
舞台はとある高校。
登場人物も高校生。
(あ、「坊主衰弱」編では喫茶店のマスターが登場しました)
ゲームの勝敗が物語の進行の鍵になっています。
5編はそれぞれ異なるゲームです。
「地雷グリコ」はじゃんけんで勝ったグー、チョキ、パーの「グリコ」「チョコレート」「パイナップル」の文字数3文字、6文字、6文字進むことができる「じゃんけんグリコ」にルールを加えたものです。
階段で行う「じゃんけんグリコ」ですが、参加者が階段の特定の段数に「爆弾」を仕掛けることができます。
その爆弾のある段数に進むと「ボカン」と爆弾が爆発し10段下がるルールです。
こう書くと単純なゲームに聞こえるでしょうが、繰り広げられる心理戦、論理戦が想像を絶する面白さでした。
しょっぱなから「ガツン」とやられました。
その後も「坊主衰弱」(花札を使った神経衰弱)、「自由律じゃんけん」(参加者がグーチョキパー以外に新しい手を考案できる)、だるまさんがかぞえた(だるまさんが転んだの変形)、「フォールームポーカー」(ポーカーとはまるで違うポーカーゲーム)と続きます。
よくもこれだけ変なゲームを考えることができるもんだ。
そして登場する一癖も二癖もあるゲーム参加者の罠や論理のひっくり返しに驚きます。

いやぁ、2025年しょっぱなからこんな本を読んでしまうとこの後読む本のハードルが上がってしまいいそうです。

主人公の射守矢真兎がどうしても負けられないと勝負に臨む雨季田絵空
真兎以上に論理的で戦略家の絵空
繰り広げられる手練手管に仕込まれた罠
6000万円をかけたゲームの最後に待ち受けていたのは・・・・
この最後のシーンは女子高生らしい価値観が貫かれていてそれまでの張りつめていた雰囲気がホッと緩みました
それまでの論理、心理戦、巧妙な罠の最後にこうした結末を持ってくるセンスもやられました

青崎有吾さん
注目の作家さんです



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