野市に100畳の大凧が戻ってきて、大空に散りました

 

我が町・野市に冬の風物詩として大凧揚げがあります。
コロナ禍の自粛を経て、4年ぶりに行われました。
100畳の大凧が見事に空を舞い、そして見事に散りました。







毎年2月11日の旧正凧揚げ大会

香南市野市町は物部川沿いにあります。
冬は白髪山から吹き下ろす強い風(白髪降ろし)が吹きます。
その風を使って土佐凧を上げることが盛んです。
凧揚げの中でも毎年2月11日に行われる旧正凧揚げ大会は100畳の大凧が空を舞うことで有名です。
コロナ禍で開催ができませんでした。
今年は4年ぶりに大凧が空を舞うとのことです。

午前中は風がなくても、午後になると風が吹いてきます。
この日も午後から風が強くなってきました。
13時からは小さな凧が空を舞い飛ばしを撒きました。
この日も老若男女問わず空を見上げ、地面を這いながらとばしに群がっていました。


14時ごろになるととばしも終わり、大凧の準備が始まりました。
トラックに積んだ竹竿の長さからもその大きさがうかがわれます。
それもそのはず100畳の大凧の胴の長さは16.5ⅿもあります。重さは190㎏です。





土佐凧保存同好会のメンバーが集まって降ろします。

この日は15時に揚げることを目安に準備を進めていきました。





土佐凧はとてもシンプルな構造で、厚手の丈夫な手漉きの土佐和紙と竹ひごで作っています。
正方形の角立てです。
真ん中の胴骨と左右の竹で和紙(化繊)を張ります。
両側の竹を突っ張るように竹(ぶんぶ)を入れていきます。
ぶんぶは最大7本。風の強さで数を増減します。


この日は風が強く、また、西から東にむいて吹いています。
一度空に揚がると凧の行方は風任せ。
駐車場に落下したら何台もの車に被害が出ます。
風の向き、強さを見ながら揚げるタイミングを図ります。
15時を回ったころ、いい風になりました。
地面に伏せていた大凧を竹竿を使って起こしていきます。


風を受け、ぐっと持ち揚がっていきます。

あっという間に舞い上がり、ぐんぐんと高度を上げていきました。








その時、ロープが伸びている方から悲鳴が上がりました。
ロープを手放すタイミングを逸した若い男性が宙高く持ち上げられています。
みると肘が伸びず慌てる様子もなく冷静です。
ロープを引き下ろすと同時に、巧みなロープワークで地表に降りてきました。
けが人が出ず、ホッとしました。
後で聞くと自衛隊員だったそうです。日ごろの訓練のたまものだったでしょう。
一般の人間なら手を放し、大きな事故になっていたことと思います。

ホッとした観衆が見上げる上空で力強く凧が風を受け空を舞っています。

この日は風が強く、いつまでも空を飛んでいそうです。

そう思って見ていると和紙が破れ、斜めに落下してきました。


幸い落下位置がグランドでした。
車もなく、人もいませんでした。

揚げる前に土佐凧保存同好会の会長から「100畳の大凧は傷みが激しく、あと一回、揚げたらお仕舞」との話がありました。
見事な最期でした。
期せずして観客から「よう頑張った!」と拍手が起こりました。





野市町土佐凧保存同好会の面々も高齢化が進んでいるそうです。
来年以降は100畳の大凧は揚がらないかもしれません。
それでも20畳の大凧を揚げたいとのことです。
来年以降もこの風物詩が続くことを楽しみにしています。







































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