第50期棋王戦第一局が高知で行われ、大盤解説会に行ってきました

 

藤井棋王に増田八段が挑む第50期棋王戦の第1局が2025年2月2日(日)、高知で行われました。
高知で将棋のタイトル戦が行われるのは21年ぶりだそうです。
大盤解説会に参加し熱戦を堪能してきました。




大盤解説会に登場した棋士の先生たち

棋王戦第1局は高知市の文化ホール・かるぽーとで行われました。
同じかるぽーとの大ホールで大盤解説会が開催されました。
棋王戦は朝の9時から始まっていますが、大盤解説会は13時からでした。
午前中は指導対局などがあったようです。



メインの解説者は佐藤天彦9段。
将棋以外にもピアノや絵画などの趣味が多彩です。
解説は筋道が立っていて素人にも分かりやすく心がけていただきました。


サブと言っては失礼ですがもう一人の解説者は黒田5段。
お隣の松山出身だそうです。
「1時間の長考していても50分くらいはぼーっとしていることがある」のだそうです。





司会進行は島井女流2段。
地元高知県は南国市の出身です。
「子供の頃、松山で行われた四国大会に行くと出場選手は3人だった」
「地元に帰ってくるとヒロメ市場に行き、カツオのタタキを食べる」など地元色満載の話を披露してくれました。



立会人の森鶏二九段は高知県四万十市の出身です。
終盤にめっぽう強く現役時代は「終盤の魔術師」と呼ばれていました。
第36期名人戦七番勝負で中原誠名人に挑んだ際の頭を丸めて対局に臨んだ「剃髪の挑戦」は有名です。
やんちゃだった森鶏二さんも78才になりました。
ときどき、大盤解説会の会場に姿を見せてくれました。



大盤解説会でのクイズ

大盤解説会では3度クイズが出題されました。
一つは3時のおやつで対局者が何を注文したのかを当てる「おやつクイズ」。
後の二つは「次の1手クイズ」でした。
入場の際に配られた解答用紙に住所と名前を書いてこれぞと思う箱に投票する形式です。
当たった投票箱から当選者を選び、住所と名前を呼びます。
驚いたことに県外から沢山の方が来ていました。
読みあげられる住所で高知県が一番多いのはもちろんですが、半分より少し少ない3,4割くらいの方が県外の方でした。
隣の愛媛県に加え、広島県、大阪府、滋賀県、更には対局者の増田8段の出身地の東京都昭島市の方も読み上げられていました。
会場には850名近くの来場者が居ましたので300名近くは県外からのお客さんだったのかもしれません。

終局

増田8段の2枚角と桂馬による攻めが何とも振りほどけそうになく「これは藤井棋王が危ないのではないか」と思っていると佐藤九段が「先手(藤井棋王)がはっきり良くなりましたね。」というので驚きました。
その後、バタバタと手が進み127手目を藤井棋王が指したのを見て増田8段が投了しました。19時18分でした。
終局と同時に立会人の森九段も入室。
両対局者の感想戦が始まる前に森九段が「あの局面では歩で取らなかったらどうなる?」と言い出して、二人が戸惑っているようでした。
立会人というよりただの高知のおんちゃんでした。
ま、飲んでない(多分)からいいか。

大盤解説会場での挨拶

対局室での検討会を一旦切り上げ、大盤解説会場に両対局者が挨拶に来てくれました。
解説陣の佐藤九段、黒田5段、島井女流2段に囲まれて藤井棋王と増田8段が並んだ姿を見ると13時から始まって20時近くまで対局を見守ってきた疲れも吹き飛びました。




藤井棋王がマイクを持って会場に挨拶。
会場の挨拶とは違いますが、乗り物好きで知られる棋王は岡山から土讃線の南風に乗り高知入りをしました。
「高知には初めて伺った。対局がメインだが、土讃線の南風に乗ることができて、まず一つ目的を達成できた。吉野川の渓谷が非常にきれいで、途中の景色も見ごたえがあった。」とのことでした。
対局翌日も南風に乗って岡山経由で帰りました。






増田8段もマイクを取って挨拶をしてくれました。
タイトル戦に登場するのも、羽織り袴での対局も初めてとのことでした。
序盤は増田8段の研究の範囲で進めて私が見るには増田8段が優勢に進めていたと思います。
初めての対局戦で大切に戦おうと思ったのか攻めるべき時に手が緩んだように感じました。
次戦での活躍を期待しています。









長丁場でしたが退屈することはありませんでした

棋王戦は1日制のタイトル戦です。
持ち時間は一人4時間。
9時に対局を開始し、その日のうちに決着がつきます。
大盤解説会は13時から始まり、終局まで。
この日は19時18分の終局の後、両対局者のあいさつなどがあり20時過ぎまででした。
長時間であり、座席は指定だし、トイレが困るな、と思っていました。
でも、2時間に一度程度、休憩タイムがありました。
また、それとは別に3回のクイズの度に投票に席を立つこともありました。
そして両対局者の持ち時間が15分程度になると「ここから一気呵成に進みますから10分の休憩」もありました。
長時間ですが、トイレに困ることもなかったし、トイレに立った時に聞き逃すこともありませんでした。

棋士の人となりに触れることもできました

大盤解説会場での挨拶を終え、両対局者が会場を後にする写真です。
私はこの写真を撮るとカメラを下げてしまい決定的瞬間を逃してしまいました。
藤井王位は舞台の袖まで下がると観客席の方に体の向きをかえ、深々とお辞儀をしました。
まだ22歳でありながら将棋界のトップに立つ藤井王位がおごることなく謙虚であり、同時にファンを大事にするその姿勢に「なるほどなぁ」と感服しました。
まさか将棋界のトップが舞台袖でまた振り返って深々とお辞儀をするなんてほとほと感心しました。

両対局者が去った舞台で解説者のプロが将棋を振り返っていました。
森九段が「藤井棋王の54桂を増田8段は歩で取ったが別の手があったんじゃないの」とか「終盤、逆転。つまり増田8段の価値があったんじゃないの」と佐藤9段に投げかけました。
佐藤9段は森九段に丁寧に解説をしていました。
聞いていると森九段に見逃し、勘違いがあったようでした。
実は私、囲碁にしても将棋にしても棋士はちょっと変人で人への配慮が欠ける人が多いのではないかと思っていました。
この写真では分かりませんが、少し腰をかがめて森九段に寄り添って話をする姿に先輩を慮る心優しきプロ棋士の姿を見ることができました。

やはり現場に行くとニュースや人の書き込みでは感じ取ることができないことに気付くことができます。


初めての大盤解説会でした。
長時間の解説会でしたが、退屈することなく楽しむことができました。
また、棋士の先生たちの人柄に触れることができたのも収穫でした。
成績だけでなく人柄に触れてファンになっていくことが分かる気がしました。
今回の大盤解説会場にも県外から沢山来られていました。
大盤解説会を目的に見知らぬ土地に旅するのも一興かと思った次第でした。































































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