地方の旅館は風前の灯火

 
昔住んでいた家の前に旅館がありました。
工事の人や行商人が泊まるような旅館でした。
どこの町や村にもそんな旅館がありました。
そんな旅館の存続は風前の灯火となっています。






私はリタイヤしてから年に2週間ほどのアルバイトをしています。
高知県の市町村の隅々まで足を運ぶアルバイトです。
滅多に行くことのない町や村です。
行けばその町や村の旅館に泊まってみようと思っています。


佐川町の明清館


高知から西に約30㎞ほどの距離にある佐川町。
昔から交通の要衝であり、栄えていました。
江戸時代には山内家の筆頭家老の深尾家の所領でした。
また今年の4月からの連続テレビ小説「らんまん」のモデルとなった牧野富太郎博士が生まれた町でもあります。


土佐を代表する地酒「司牡丹」の造り酒屋もあります。










酒柄が並ぶ街並みは風情があります。
その酒蔵の間を奥に進む道があります。




牧野公園があります。
私は30数年前までこの佐川町に住んでいました。
その当時の牧野公園は春の花見の時には酔客で賑わいますが、それ以外は閑散とした公園でした。
らんまん効果でしょうかきれいに整備されています。
平日にもかかわらず散策する観光客の姿をたくさん見ることができました。








佐川駅の前には旅館が3軒ほどあります。
その中でも明清館は格式が高い旅館です。
この日は私を入れて二人の宿泊者でした。
1泊朝食付きで6,500円。

らんまん効果でたくさんの観光客が来ている佐川町でも、地元に泊まる人はほとんどいません。



土佐町田井の富士見館

嶺北地方の土佐町に行った際には田井の富士見館に泊まりました。
この通りには旅館が並んで立っています。
昔は宿泊客で賑わったことが伺えます。






旅館は奥まで廊下が続き部屋も沢山あります。
土佐町には早明浦ダムがあります。
ダム建設当時にはきっと満室になり、賑わったことと思います。

この日の宿泊客は私一人。
一泊朝食付きで4,600円。


富士見館のある通りにある旅館では、早明浦ダムのバス釣り客相手に一泊2,500円で部屋を提供していると聞きました。
経営のためには仕方ないのでしょうが、もっと、活かす道はないものかと思います。

道路が整備されどこに行くにしても自動車です。
時間距離がどんどん短くなっています。
更に高速道路ができ、時間短縮が進みました。
インターネットの検索サイトで嶺北地方の宿泊施設を検索すると南国市や高知市内のホテルが上位に来ます。
高知ICや南国ICから大豊ICまで30分ほどです。
嶺北で一仕事終えて高知市内のホテルに戻り、居酒屋で一杯やって、また、翌朝、車で嶺北に来る。
高知市内や土佐市内で製紙関係の工事があっても、過去は現場近くに泊まったが、今では四国中央市など瀬戸内海側から”通勤”するようになっています。
そんなことができるようになりました。
らんまん効果で佐川町を訪れた観光客も宿泊は高知市内だったと思います。
田舎の旅館は立派な木造建築物であることも珍しくありません。
また、過去の賑わいを今に伝える文化財でもあります。
何とか維持し、活かす道はないものかと思っています。












JR佐川駅
特急列車「あしずり」も止まる駅です。
来春(2024年春)にはこの駅も無人駅化します。
旅館だけでなく路線も将来に向けた継続が心配になります。


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