高知県の嶺北にある旅館・高知屋に泊まりました。
先週、高知県の嶺北(れいほく、大豊町、本山町、土佐町、大川村)に行く機会がありました。
本山には泊まりたいと思っていた宿があり、今回、念願がかないました。
旅館・高知屋です。
玄関からして時代を感じます。
中に入ると一層、時代を感じます。
廊下のガラスはひずみがあり、顔を動かすと向こうの景色がゆがみます。
このひずみのあるガラスは風情があり、私は好きです。
実際に、貴重なものです。
高知市内の料亭・得月楼(陽揮楼のモデル)もひずみのあるガラスを使っています。
得月楼で「このガラスは風情がありますね。」と言うと、仲居さんが次のようなことを話してくれました。
「酔っ払ったお客様が、ガラスを割ってしまった。
ひずみのあるガラスは入手が難しく、宴会代以上に修理代がかかった。」
ひずみのあるガラスは見るだけで、手を触れないように気を付けなくてはなりませんね。
さて、高知屋の話に戻ると、大お客(大宴会)ができる大広間もありました。
女将さんに話を聞くと、もともと高知屋は得月楼のような料亭だったそうです。
林業、鉱山が盛んだったころは大きな宴会で賑わったそうです。
林業、鉱山がさびれてくると次は早明浦ダムの建設工事、次には高速道路の建設工事と賑わったが、今は宴会も、泊まるお客さんも少ないとのこと。
この日の宿泊客は私一人でした。
どの部屋でもいいと言われましたが、さすがに大広間で寝るのは遠慮しました。
時代は移り変わり、町の賑わいがかつてのようなものでなくなり、今までのようなやり方では高知屋の経営は厳しいだろうと感じました。
しかし、中庭の向こうには洋風建築がある和洋折衷の建物と言い、大きな木造建築であることと言い、ひずみのあるガラスと言い、魅力的な旅館です。
今回は、土佐赤牛を使った夕食や、地元のお酒・桂月は残念ながら、高知屋で味わうことができませんでした。
もし、魅力的な建築物とそれにまつわる物語、そして地元の食材を使った料理に地酒があれば、なんて魅力的でしょう。
時代に合わせた情報発信や、こうした旅館の良さが分かるお客さんに合わせたおもてなしを工夫したり、地元の食材である土佐赤牛、地酒・桂月などとタイアップすることで「高知屋に泊まりたい」と、魅力が再び発揮されるだろうに、と思います。
こうした旅館や物語が高知県内あちこちにあるはずです。
巡ってみたいと思っています。
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