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8月, 2025の投稿を表示しています

晩酌をする猫

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  晴耕雨読なんて無理無理。 殺人的な暑さです。 陽ざしは肌をびりびりと焦がし痛いほどです。 お日様が上がってくると早々に屋内に退散です。 風通しがあって過ごしやすいところに籐リクライニングチェアを置き、横になって本を読んで過ごします。 涼しいところはネコたちも知っています。 近くに集まってきて思い思いのところで横になり、へそ天のしどけない姿で気持ちよさそうに寝ています。 私と言えば本を読んでいるとうとうととしてしまいます。 気持ちのいい時間です。 外の物音で覚醒し、周りを見ると猫たちの中に混じって同じような格好で夏の昼寝を楽しんでいた自分に気付きます。 枕元に本がなければ見分けがつきません。 「起きたけど寝るまで特に用もなし」(吉村明宏さんのシルバー川柳) 簡単な昼食を済ませると特に用もなく、また横になって本を読みます。 ネコたちも一緒です。そして、うとうととします。 「寝る子」が猫の語源であるという説が最も有力だとされるほどネコは昼も夜もよく寝ます。 私も昼も夜もよく寝ます。 昼寝をしても夜に眠れないことはありません。 なんだネコと一緒じゃん。 ネコとの違いは何だろう? 夕方になるといつまでも寝ているわけにはいきません。 本格的に寝る準備に入ります。 適当なつまみを作って晩酌をします。 ネコたちも起きて来てキャットフードをカリカリと食べて水を飲みます。 刺身なんかあげようものならむしゃぶりついています。 でも、ビールは飲みません。 あ、そうか。違いは晩酌か。 吾輩は晩酌をする猫である。

ヤモリと夏の夜の夢

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夏になると曇りガラスの向こうに体をSの字にしたヤモリが透けて見えるようになります。 私は爬虫類が苦手です。 でも、ヤモリは何とも愛嬌があり嫌いではありません。 ある日のこと。 ヤモリが台所の粘着剤に手足を取られ身動きが取れなくなっていました。 そうっとつまむとヤモリの体はとても柔らかく、強くつかむと潰れそうです。 傷つけないように両脇をつまみ、粘着剤から引き離そうとしました。 すると「キュッ キュッ」と鳴きました。 へぇ、ヤモリって鳴くんだ。 そう言えば、東南アジアを舞台にした映画「戦場のクリスマス」の冒頭でトッケイヤモリが鳴くシーンがあったことを思い出しました。 強く引っ張ると手足を傷めそうです。 そうっと、そうっと引きはがし、手足の先に付いた粘着剤を綿棒やピンセットでできるだけ取り除きました。 小さい爪がありました。 完全には取り切れませんでしたが、身を固くしているヤモリをこれ以上つまみ続けるのはよくなさそうです。 ヤモリをいつも見かける窓の付近にそっと降ろしました。 感謝の気持ちか指先を噛んできました。 噛まれても痛くはありません。 指先の指紋にヤモリの歯の感触が感じられたくらいです。 降ろしてもすぐに動きません。 胸郭が大きく動き、掴まれていた恐怖から心を落ち着かせているように見えました。 次に見るともう姿が見えなくなっていました。 夏の夜によく見かける我が家の同居人のヤモリ。 愛嬌のある姿に今までも一方的に親近感を持っていました。 鳴き声を聞いて、一層、身近に感じます。 近くを通った時に「キュッ キュッ」と鳴いてくれたら「たまぁるか!あの時のヤモリ君か!」となるのですが、今夜もヤモリは素知らぬ顔。 残念、夏の夜の夢でした。  

知覧特攻平和会館に行ってきました

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随分前に百田尚樹さんの「永遠の0」を読んで涙しました。 その頃、知覧特攻平和会館を知りました。 「いつか行かねば」と思いながら、今月末で68才になります。 父が満てた(亡くなった)齢まで10年。 78才で満てる気はありませんが、時間が永遠でないことも確かです。 「ねば」、「ねば」言う間があったらさっさと行け、と自分で自分のケツを蹴りあげて出かけました。 『永遠の0』(百田 尚樹)|講談社 娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。 そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。 終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。 天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。 記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。 以上、講談社のHPから。 「永遠の0」は2006年に太田出版から出ています。 百田尚樹さんは様々な出版社に持ち込んでも断られ、やっと太田出版が本にしてくれました。 その後、講談社から文庫本も出て累計546万部のベストセラーになりました。 この本が百田さんのデビュー作とは驚きです。 こちらが講談社の文庫本です。 2009年に発行されています。 文庫本の表紙の方が馴染みがあります。 永遠の0 || TOHOシネマズ 2013年には岡田准一主演で映画化もされています。 百田さんは天才的な飛行士宮部久蔵を通して命の大切さ、戦争のむなしさを描いています。 今回、知覧特攻平和会館を訪れるに際し、「永遠のゼロ」を再読し、また涙しました。 以下は「永遠のゼロ」を読んで私が感じたことです。 命の大切さ 戦場では臆病なくらい気をつかう 搭乗する飛行機のエンジン調整に神経質なくらい整備兵に確認する 飛行中は偏執的に周囲をきょろきょろ見張ってばかりいる 万が一に備えての落下傘を定期的に広げて点検する 筋トレや耐Gのトレーニングを欠かさない 「なぜ死にたくないのだ」 私の質問に宮部は静かに答えました。 「私には妻がいます。 妻のためにも死にたくないのです。 自分にとって命は何よりも大事です。」 「私は帝国海軍の恥さらしですね。」 自分の命だけではありません。 部下にも無駄に命を落とすことを戒めます。 終戦間際、教官となっても学徒出陣の若い訓練生に「上手くなった者から戦地へやられます」と甘い評点で合格を出すことをしません...